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『鼻出しマスク』での受験は不正行為?


『鼻出しマスク』受験生を『不正行為』 とした、試験監督者の判断は

2択総研がTwitter上で行った集計 では

『判断は妥当』 89.7% 判断は不当』 10.3%

となりました。 


<総投票数>14,103票 <投票期間>2021年1月17日~1月20日



当トピックスは、2021年1月16日に行われた大学入学共通テストの東京試験会場において、マスクを正しく着用せず『鼻出しマスク』状態で受験していた男性が、試験監督者から計6回に渡り正しくマスクを着用するよう指示され、6回目の指示の際には「次は不正行為になること」を本人に伝達したにも関わらず『鼻出しマスク』を続けたため、不正行為と認定されたという第一報が報じられた時点で出題しました。出題後まもなくして、受験生が49歳の男で、受験失格後に会場のトイレに約3時間閉じこもり警視庁建造物不退去容疑現行犯逮捕していたことが報じられましたが、当コラムにおいては受験生の属性受験失格後の不法行為は論点に加えず、あくまでも「『鼻出しマスク』での受験を『不正行為』と認定することは妥当か不当か」に絞って考察していきます。



リプライでいただいた声をいくつか紹介いたします。※要約や一部抜粋の場合あり


『判断は妥当』派コメント

ルールを守らなかったなら失格も止むなしとする声
「決められたルールを守っていませんから妥当です!」
「事前に知らされて、かつ注意を何度もされてしまってたら、仕方ないね。」
「サッカーに例えたらイエローカード6枚」

事前の申請を怠ったことを指摘する声
「配慮が必要な受験生には、マスク無しでの別室受験を認めているが、この受験生から事前の申請はなかった。」

監督者の指示に従わなかったことを問題視する声
「監督者の指示に従うべき」
「不正を目論んでるかは関係なしに、『試験監督者の指示を聞かなかった場合は不正行為』となってるんだよ」

監督者への対応も試験の内とする声
「マスク鼻出しが否定されたんじゃなく、協調性の無さが否定されたんだろうよ。」
「現代社会で失点して落ちたと思えば良い。」
「試験を行う側のお願い事を聞けない時点で、不合格になって当然だと思う。」
「妥当。ある意味これも面接でしょう。」
「試験というのは、定められたルールを守って行うという大前提ですから、受験資格を自ら放棄したとみなされても仕方ないでしょうね」

自己責任だという声
「自由には責任が伴うということです。」

判断は不当』派コメント

不正判断は厳しすぎるという声
なんか変な世の中だなぁ
「マスクの着用で不正判断って何?世知辛い世の中になったものですなぁ!
「試験で不正は 『カンニング』だけだと思うんだけど。鼻がマスクから出ていたら不正?鼻呼吸で感染するの?よくわからん定義だわぁ」

『鼻出しマスク』禁止の根拠を問う声
「マスク着用を『感染症予防の医学的根拠がある』という理由で強制したのなら、根拠を説明する責任があったと思う。」

緊急事態宣言化での試験実施を疑問視する声
「テスト自体とは関係ないのに『不正行為』になるなら、そもそも緊急事態宣言下でやるのはおかしい。」


筆者見解

出題結果は、『妥当派』が89.7%と圧倒的でしたが、筆者自身も考察していきます。


■背景

まず始めに整理したいのは、そもそも当該受験生がマスクを鼻まで覆うことを拒否したのは「眼鏡が曇る」という理由だったそうです。各受験会場では感染対策のため、休み時間には換気のために10分ほど窓を開けていたことで、より眼鏡が曇りやすい環境だった可能性があります。

そしてもう一点重要なのは、今回の不正行為は、『鼻出しマスク行為』そのものに対して認定されたのではなく、あくまでも『試験監督者の指示に従わなかったこと』に対して認定されている点です。

と、すると次に「試験監督者の指示」が適切だったかが重要になってきます。


■試験監督者が『鼻出しマスク』を注意する根拠

試験監督者が鼻出しマスクを止める様に注意をした根拠は以下になります。

大学入試センターは、事前にすべての受験生に受験票とともに「受験上の注意」という小冊子を郵送していて、その中で『マスクの正しい着用』を求めていた。

小冊子は確認していませんが、大学入試センターのホームページに掲載されている「受験上の注意」はこちらです。

「受験上の注意」PDF

「受験上の注意」で、「マスクの着用」について言及している部分を抜粋します。

〜「受験上の注意」P5より抜粋〜
③マスク着用
 マスク(予備のマスクを含む。)を持参し、試験場内では常にマスクを正しく着用してください。
 フェイスシールド又はマウスシールドの着用のみでは、受験することはできません。
 感覚過敏等によりマスクの着用が困難な場合は、「医師の診断書」を提出して受験上の配慮申請を行い、別室での受験を申請する必要があります。申請方法及び受付期限等については受験案内の40ページを参照してください。
 なお、受験上の配慮申請を行わずに試験当日に申し出た場合は、マスクを着用せずに受験することはできないため、追試験の受験を申請してもらうことになります。

■「受験上の注意」の解釈

上記「受験上の注意」を見て、みなさまはどう思われたでしょうか?当該受験生と同室で受験していた別の受験生への取材記事によると、試験監督者の『鼻出しマスク』の是正を求める要請に対して当該受験生は「マスクの着用方法については試験要項に書いていない」と反論していたそうです。確かに「受験上の注意」には、「常にマスクを正しく着用してください」とは記載がありますが、「マスクを鼻から出すことは禁止します」とは書かれていません。


■厚労省基準

では、大学入試センターが言う「マスクの正しい着用」とは何を指すかという話ですが、取材に対する大学入試センター総務課の回答によれば、厚労省を基準としているそうです。

ここで厚労省の基準を確認します。以下は厚労省のホームページにおける「正しいマスク着用」をイラスト付で説明しているPDFです。

厚労省「感染症対策」PDF

上記PDFから「正しいマスクの着用」について言及している部分を抜粋します。

①鼻と口の両方を確実に覆う
②ゴム紐を耳にかける
③隙間がないよう鼻まで覆う

■事前に告知された「受験上の注意」は十分だったか?

もし、「受験上の注意」の『正しいマスクの着用』において、「厚労省基準」という一言を添えていたか、あるいは具体的に、①鼻と口の両方を確実に覆う ②ゴム紐を耳にかける ③隙間がないよう鼻まで覆う、と記載していれば、『鼻出しマスク』は確実にNGです。

しかし、実際にはそういった記載がなかったので、「受験上の注意」において『鼻出しマスクはNG』だと事前に通達していたかどうかの解釈は、グレーな印象です。厚労省基準が適用されることは社会通念上いたって自然だと思いますが、明記していない以上「事前に聞いていない」という反論を与える隙を残している印象はあります。



■筆者ファイナルジャッジ ※個人的見解です

しかしながら「受験上の注意」に明記がなかったからといって、「鼻出しマスク=正しい着用」と解釈するのは、コロナ禍のスタンダートに照らし合わせると無理筋と言わざるを得ないというのが率直な感想です。

さらに、私はwithコロナの現在に、「完璧なマニュアル・ガイドライン」を求めるべきではないと思っています。そもそもが、大学入学共通テストが実施出来るかも危ぶまれるほどの未曾有の混乱が社会を覆っている上、コロナの実態を正確に把握出来ていない中、完璧なマニュアルなど現実的に不可能だと考えます(ただし、『鼻出しマスク禁止』は厚労省が言及しているたった3点の内の1点であり、明示すべきだったと思いますが)。

withコロナにおいて重要なのは、互いに善意と配慮を持って接することだと思います。試験監督者は、敵ではなく味方なのですから、善意と配慮を持ってコミュニケーションを取っていれば、自ずと解決に導かれ、そもそも問題など起こり得なかった次元の話だと思います。

したがって、試験監督者の複数回に渡る注意、及びその後の流れは正当だと私は判断します。

以上を理由として、私は大学側の不正判断を支持します。


■社会の寛容さ

「こういったイレギュラーなケースにも対応する寛容さを社会は持つべきだ」という声もあるかもしれませんが、まず第一に今回の場合、大学側は、マスクをきちんと着用出来ないのであれば、別室での受験という選択肢も提示していたとの報道です。『鼻出しマスク』を可能とする代替案を示しているのであれば、『鼻出しマスク』に対して寛容な対応だったと言えるでしょう。第二に、「寛容さ」を履き違えてはならないと考えます。ことコロナ禍においては、感染対策を脅かす個人の主義・主張を認めることは、当人及び周囲に対しての「寛容さ」ではなく「背信」だと感じます。なぜなら、社会全体の感染リスクを高めるということはすなわち、当人や周囲の私権安全性を脅かすことと同義だからです。


■最後に

私自身マスクを着用してデスクワークをするだけで息苦しさを感じ、能率が下がります。まして、受験生の皆様にとっては一世一代の大勝負とも言える受験の重圧の中でのマスクの着用は本当に煩わしいでしょう。同時に、試験監督者の皆様も様々な葛藤を抱きながら、試験監督に臨まれているはずです。多くの関係者の尽力の下に成り立っている受験ですが、そんな苦しい受験を突破した後にも、春から楽しいキャンパスライフが訪れる保証がないというのは、あまりにも酷な話です。

受験生にとっても、社会にとっても一刻も早い日常への回帰を達成するために私達に出来ることを考えた時、結局のところマスクが鼻から出ないように努めることなどかなと、改めて思ったりします。



◆関連コラム◆

このニュースで、昨年8月にピーチ機を途中降機させられた「マスク拒否おじさん」を連想した方も多いと思います。

当時「マスク拒否おじさん」について記したコラムはこちらです。

マスク拒否おじさんについてのコラム



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