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『マスク着用拒否男性』の是非を考える


どちらを支持?

2択総研がTwitter上で行った集計 では

『ピーチ』  85.5% 『30代男性』14.5%

となりました。 

<総投票数>1,248票 <投票期間>2020年9月13日~9月16日





9月7日、北海道の釧路空港から関西空港に向かうピーチ・アビエーション機内で、離陸前に客室乗務員によるマスク着用の要請を拒否した30代男性乗客が、離陸後に客室乗務員を威圧したことを理由に、新潟空港に臨時着陸して男性を降ろすトラブルがあったと報道され、大きな話題となりました。なお、一連のトラブルで乗客約125人を乗せる同機は関西空港への到着が約2時間15分遅れました。


30代男性はその後、Twitterアカウントを開設したり、メディアの取材に応じ、積極的に自身の主張を発信しています。


当出題は、「搭乗前にマスク着用要請はなく、機内で初めてされた」「マスク拒否は健康上の理由。威圧はしていない」という男性の主張をふまえ、ピーチ社と男性どちらを支持するかを問う出題でした。結果は『ピーチ社支持』が85.5%となっています。


なお、当出題の目的は、どちらかを一方的に糾弾することではなく、当トピックスを通し、まさに今私たちが抱えている『コロナ社会におけるマスク着用のあり方』を考察していければと考えております。



まずはリプライでいただいた声をいくつか紹介いたします。※要約や一部抜粋の場合あり


『ピーチ社支持』派コメント

~マスクをつけられない理由を説明すべきという声~
「自分に言い分があるなら、何故マスクが出来ないか、 ハッキリ言うべき。」
「マスク拒否が健康上の理由なら、医師の診断書を提出して下さいな。」
「健康上の理由があったのであれば、威圧まがいの事なんてせずに理由をまず説明すべきだと思います。」

~自己中心的だと男性を非難する声~
自分のことしか考えない自己中、こんな人に旅客機に乗ってもらいたくない
散々、周りに、迷惑かけて、(自分は)健康上の理由でマスク出来ないとは
このご時世 マスクは常識、他者へのマナー。健康上の理由なら ハンカチで口を塞ぐ位の配慮は あ た り ま え。
著しく迷惑行為は確か… 要注意人物として…飛行機や新幹線などの長距離移動は、利用させない様にして貰いたい。ある意味、テロ行為…に近かった…w

~マスクの要請を「機内で初めて聞いた」は通じないとする声~
「 搭乗者に対し告知されてある。 知らなかったは通用しないだろ。」

~退去命令は『マスク着用拒否』が原因ではなく別にあるという声~
「そもそもの判断の論拠が全く別。 航空73条には『乗務員の指示に従わない者は機長判断で拘束、あるいは下ろすことを認める』とある。 飛行機に乗る前の問題ではなく、乗ってから騒いで乗務員の指示に従わなかった事が問題なの。 海外なら全身縛りつけられて床に放置だw されなくて良かったねw」
「航空法は血で書かれた規則です、それをいたずらに破ろうとするものは絶対に許してはならない。」
「威圧をしていないと言う人間に限って威圧していると思う。」

『30代男性支持』派コメント

~過度なマスク着用要請を疑問視する声~
「マスクを強制して従わない乗客を排除しなければならないほどの恐ろしい殺人ウィルスが蔓延しているのならいっそ休業すればいいのに

~企業側の運用体制の改善を要望する声~
「この方も『健康上の理由』で マスクを付けられない。 そんな人も居るから個人に対する批判ばかりはどうかと思います。 実際にマスクつけ忘れて外に出ると凄い視線を感じます。 正しく運用する努力が企業側に求められて要るのでしょうね。」


筆者見解

当該トピックスは論点が多岐に及びますが、ここでは以下2点に絞り考察します。

(1)ピーチの『マスク着用要請』は要請の範囲を逸脱していたか?

(2)男性を降機させたのは妥当な判断だったか?


なお、当該案件について、ピーチからの公式見解は現時点で確認出来ていません(法的処置などあらゆる可能性を視野に協議しているという報道も)。一方、30代男性Twitterやメディアへの応対などで積極的に主張を発信しています。論点を考察するにあたって、男性側の主張を抜粋することがありますが、目的は男性擁護ではなく、論点洗い出しです。



(1)ピーチの『マスク着用要請』は『要請』を逸脱していたか?

この件について、男性の象徴的な主張が以下です。 ※全11Tweetのスレッドです

上記ツイートのリンクはこちら



『要請』を巡る経緯を、男性のTwitterやメディアでの主張を基に筆者がまとめると以下になります。(あくまで男性目線、筆者まとめの経緯です)

1.男性は事前にピーチのHP上で、ピーチが搭乗者に『マスク着用』をお願いしていることを把握。ただし『マスク着用』が必須とは書いてなく、あくまで『お願い』ベースだと男性は認識。

2.空港での搭乗手続きの際も、地上係員から『マスク着用』についての指摘はなかったので、自主的な『マスク非着用』の申告はしなかった。

3.着席後、離陸前客室乗務員から『マスク着用』を要請されたが断った。その後も何人も客室乗務員が入れ替わりやってきて、食い下がる様に『マスク着用』の要請を何度もされた。この際に『マスク非着用』の理由は聞かれず、男性から筆談による理由の開示(健康上の理由を口頭で開示したくなかったため)を提案したが断られた。

4.そんな折り、男性と同じ列に座っていた乗客(男性)から「気持ち悪い。こんなんと一緒に乗られへん。あっち行け」という発言があった。男性は「侮辱だ。謝罪をしてください」とその発言者に強く抗議をし、同時にそばにいた客室乗務員にも「機内の秩序を乱しているので謝罪させてほしい」と要請をしたが、対応はなかった。

5.その後、「このままでは飛び立てません」と、客室乗務員から男性に、マスクを着用するか、席の移動を指示されたが、男性は応じなかった。 ※当時の男性の周囲の着席状況は、男性が3人席の端に座り、隣には人は座っておらず、同列の他の客との間は離れていた。

6. 最終的に男性と同列の他の客が移動し、かつ男性から客室乗務員に、男性への暴言者を注意し謝罪させることを要請し、同機は離陸。

上記経緯について、ピーチ社の対応/男性の対応それぞれに問題点はあるのかもしれませんが、こと「ピーチ社の『マスク着用要請』が『要請』を逸脱しているか否か」について言うと、私はピーチ社のマスク着用要請は要請を逸脱していないと考えます。理由は、ピーチ社は、男性、もしくは男性の周囲に座る客の席の移動という、男性がマスク非着用の場合の代替案を提示しているからです。非着用という選択が可能なことをもって、マスク着用要請は過剰な要請ではなかったと判断します。



(2)男性を降機させたのは妥当な判断だったか?

まずは(1)の続きとなる、降機にいたった経緯です。(あくまで男性主張に基づく、筆者まとめの経緯です)

~降機にいたった経緯~

7.離陸後、男性の脇を通った客室乗務員に、先ほどの乗客が謝罪したのか、マスクの着用についてピーチの運航約款ではどのように定められているのかを質問。明確な回答が得られなかったので、5分ほどその場(座席)で抗議。

8.その後、男性は機内後方の客室乗務員の詰め所に案内され、そこでも同様の質問を続ける。 ※一連のやり取りの中で、男性の声量が大きくなる場面があり、客室乗務員から「声が大きい」という注意を受け、声量についてはその場で謝罪している

9.男性が詰め所で質問を続けていると、客室乗務員から「座席で答える」と言われ、男性は座席に戻る。しかしその後も回答がなかったため、再び客室乗務員を呼び止めて座席で質問を続けた。すると客室乗務員から、客室乗務員の総責任者と話してほしいと提案があり、男性は機内前方に向かった。

10.機内前方での客室乗務員の総責任者とのやり取りでは、回答は得られず、男性に対し「途中で降りていただく」という発言があった。その後にも「(男性の)声が大きい」と言われたので、男性は書面でのやり取りを提案し、いったん席に戻り質問状を書き始めた。

11.その後、客室乗務員の総責任者が男性の席に来て男性を降機させる命令書を読み上げはじめる。具体的な安全阻害行為については空欄だったので、男性は「なんの行為が該当するのか」とペンで該当箇所を指摘して、有効なのかも問いただす。総責任者は回答せずに読み上げ、立ち去る。

12.その後も男性が席で質問状を書いていると降下が始まり、新潟空港に到着。   

男性の降機の直接的な理由は安全阻害行為となっています。

安全阻害行為をもって降機命令を下せる法的根拠として、航空法第73条の3と4を記します。


~航空法第73条の3、4~

第七十三条の三 航空機内にある者は、当該航空機の安全を害し、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産に危害を及ぼし、当該航空機内の秩序を乱し、又は当該航空機内の規律に違反する行為(以下「安全阻害行為等」という。)をしてはならない。

第七十三条の四 機長は、航空機内にある者が、離陸のため当該航空機のすべての乗降口が閉ざされた時から着陸の後降機のためこれらの乗降口のうちいずれかが開かれる時までに、安全阻害行為等をし、又はしようとしていると信ずるに足りる相当な理由があるときは、当該航空機の安全の保持、当該航空機内にあるその者以外の者若しくは財産の保護又は当該航空機内の秩序若しくは規律の維持のために必要な限度で、その者に対し拘束その他安全阻害行為等を抑止するための措置(第五項の規定による命令を除く。)をとり、又はその者を降機させることができる

上記にあるように、機長には安全阻害行為があった時に、降機命令を下すことが法的に認められています。空の上で大勢の乗客の命を預かるという性質から、飛行中はほんのわずかでも運航に差し支えがある行為は安全阻害行為とみなされることは妥当であり、その辺りの厳格さは地上とは異なると言えそうです。


なお、当該男性は安全阻害行為を否定しています。


男性の行為を安全阻害行為と認定するかについては、私は難しい問題だと思いつつ、結論としてはピーチ側を支持し、安全阻害行為はあったと考えます。

結論の理由は、対象となる行為が当該男性が主張する様に「乗客と乗務員の議論・口論」だとしても、明らかに客室乗務員の業務に大きな負担・支障をきたしているからです。実は当該男性は複数人でのテロ行為を計画していて、当該男性は客室乗務員の注意をそらす役割だったとしたら目的を完遂していたと言えるほどに、機内の客室乗務員の管理体制を揺るがしていたと推察します。もちろんそれは極論ですが、空の上での管理基準は、イレギュラーにどれだけ柔軟に対処するのかではなく、イレギュラーをどれだけ厳格に排除するかを基に構築されるであろうことを勘案すると、当該男性に安全阻害行為があったと認定することは不自然ではないと考えます。

冒頭に難しい問題だとした理由は、「乗客と乗務員の議論・口論」前述のマスク着用問題に端を発しており、この一連の流れの中で、ピーチ/男性双方に適切ではない対応があり、互いに感情的になった面もあるだろうと推測するからです。つまり男性が安全阻害行為にいたる経緯に、ピーチ側の関与がゼロだとは考えにくいと思っています(とはいうものの、責任の大部分を男性が担っているとも思っています)。



最後に

当該男性はコロナ禍における社会のあり方に対しても提言をしています。

代表的な主張を2つ紹介します。 ※それぞれ異なる文脈、タイミングで主張されています。



男性は、自身の降機を、同調圧力に従わない人間を排除する社会の縮図とし、そんな社会の一面をコロナ禍がクローズアップさせた、と主張しています。


私は、上記男性の主張に異を唱えます。


私の見解は、男性の降機は、全体の安全よりも私権を優先する人が増加している社会の縮図とし、そんな社会の一面をコロナ禍がクローズアップさせた、と認識しています。


実は、男性と私の主張は同じ事象を、『敵役』『同調圧力』にして語るか、『私権』にして語るかだけの違いで、コインの表と裏の様なものです。


ここで考えてみたいのが『コロナ脳』と言う言葉です。


私権を主張する人が、過剰にコロナを恐れる人を非難する言葉として良く使われる『コロナ脳』ですが、リスクを可能な限り減らし、安全を保とうという行為そのものは、例え実質的な効果が乏しいとしても非難される理由にはならないはずです。


では、どういう場合に非難される余地が生じうるかというと、盲目的にコロナを恐れたり考えを放棄することで、経済を停滞させたり、別の何かを失う時だと思います。その様に犠牲が生じて初めて『コロナ脳』という言葉は、非難の余地が生じ得るのではないでしょうか?


では、当該案件に立ち返り、札幌空港から関西空港まで人的資源・経済リソースを移送させるという活動にあたって、乗客がほんの僅かなリスクから自分と同乗者を守るためにマスクを避ける行為は、経済面あるいは他の何かに損失を生じ得る選択でしょうか?私には乗客が念のためにマスクをすることで失う価値が見当たりません。安全という得るものこそあれど、失うものがないのであれば、その行為は合理的選択ではないでしょうか?


他方、当該案件では到着に2時間15分の遅れを出していて、こちらは明確に経済的損失です。これは私に言わせれば、コロナを恐れない、すなわちマスク非着用に盲目的にこだわるあまり、得るものと失うものの計りが出来ていない『コロナ脳』です。(もちろん当事案の遅れは特別だとしても、非着用によって何かのリソースに大なり小なり負荷をかけることや、飛行中にクラスターが発生した場合のその後の対応含め経済的損失は自明でしょう。)


もちろん健康上の理由など、やむを得ない場合には例外対応は元々存在しています。後ろめたさのない方は正々堂々と主張し、航空各社も快く応じるでしょう。


男性は、(別のツイートなどで)健康上の理由がないとしても、個人の判断で非着用という選択を是とするべきと主張しています。私はそれを、得るものがなく、失う可能性しかない非合理な選択なので反対します。その判断こそ(マスク非着用派がマスク着用派を揶揄する時に良く使う)『コロナ脳』だと主張します。私のスタンスは、正当な理由がない限り、少なくとも飛行機内では嫌でもマスク原則着用を支持します。あくまでもコロナ禍の不安が解消されるまでは。



と、ここまで男性に対し否定的な物言いをしてきましたが、一連の騒動後に男性が様々な方法で自身の見解を主張していることは、『コロナ社会におけるマスク着用のあり方』社会全体が考えるにあたって非常に有意義だと思っております。男性の様な考え方をしている人も多いと思われ、その様な人たちの考えを、整理された文脈で代弁しているとすら思っており、議論の先に社会がより良い方向に向かうという意味で、ある意味で感謝しています。


当該案件は、場合によっては法廷で争われることになるかもしれませんが、現場で苦慮したピーチの判断が貶められることなく、同時に、男性が社会から排除されることのない様な、建設的な着地になることを、強く望んでおります。




出題ツイートはこちら


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